2007年4月29日日曜日

vol.22 やっぱりLINUX? 2000/08/20

PCのOSはWINが90%という時代がやっと変わりつつある。

サーバ用のOSに限定すると、リナックスのシェアが25%に達したという。今後ネット端末、モバイル端末、携帯電話などに採用されていくことが予想される。

リナックスは1991年、フィンランドのリーナス・トーバルズ氏が大学生時代にOSの基本部分を開発、ネットで公開。以後世界中のプログラマーによって改良が重ねられ、急速に実用化への道が開けた。
何と言ってもリナックスの最大の特長は「只」という点。多くのパテントで身を固め、一切のソースを公開しないというWINの戦略と全く逆の発想である。

かつてIBM社長の座を蹴ってまでもPC業界からのIBM追い落としに執念を燃やし頂点に立ったビル・ゲイツだが、ここへきて異文化とも言えるリナックスの攻勢の前に危機感を持たざるを得なくなっていると言えよう。

「いいものは只でみんなのもの」という発想と「人より先に権利を押さえて支配する」という発想の闘い。それは、言い方を変えると、「共生」と「競争」の闘いであると言えよう。

20世紀は戦争の時代であったわけだが、その時代の最後の遺物がマイクロソフトという企業であった、ということが来世紀になれば証明されることになるのかもしれない。

デジタル家電の方では、家庭内の家電を無線で結んでしまう「ブルートゥース」という方式がグローバル・スタンダードになろうとしている。

この名前の由来は武力ではなく対話と説得で国家統一を成し遂げた中世デンマークの国王の名前だそうであるが、これもまた「共生」の発想が根底にあるように思える。

あらゆる文化はその地域の人や土壌が長い年月をかけて育んでいくものだが、デジタル技術という先端技術の世界においてすら、図らずもヨーロッパ文化の共生とアメリカ文化の競争の論理が透けて見えるように思える、というのは穿ち過ぎた見方だろうか。

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2007年4月22日日曜日

vol.21 IT革命は起きない 2000/08/03

最近なんだかIT、ITとかまびすしいことである。

ITとはInformation Technologyのことだそうである。分かりやすくいうと、ネットやデジタル化を推進することによってIT革命を起こすのだそうである。

なんだかちょっと前まで騒がれていた「情報革命」とか「マルチメディア」とか「インタラクティブ」とかいうキーワードを一緒くたにして出来上がった言葉のようである。

しかし、ちょっと考えてみれば分かることだが、ITに革命など起きるはずもないし起こせるはずもない。なぜなら、ITというのは読んで字のごとく、所詮只のコミュニケーション技術にすぎないわけで、「革命的な技術」であることと、その技術が革命を起こすこととは全く異なる意味合いだからである。

語呂の良さにひかれて、昨日までのことを忘れて政府までが「革命」などとぶち上げているが、「革命」を推進する政府などかつて存在したことはないのはご存じの通りである。眉唾もここに極まれり、というていたらくである。まー、ITによる合理化、程度のニュアンスで捉えておけば間違いのないところだろう。

ところが、DIGITAL DIVIDEということになると、問題は異なる。所得格差が情報格差を生み、それがまた所得格差を助長するという意味合いであるから、革命ではなく資本主義の必然の帰結を見るだけではあるが、機会均等という見地からすると確かに不平等である。

ネットでの株取引で瞬時にして人一人の一生分の所得に匹敵する数億円を稼ぐなどということも可能になった。ところがPCも持たず、ネットにも縁のない人々にとってこれは想像すら出来ない世界の出来事なのである。

とはいえ、これを選択する自由もまた均等に平等に与えられてしかるべきで、PCとWIN3点セットの習得をリストラ条件にするなどというのがまかり通ることの方に違和感を覚える。
これを本末転倒と言わずしてなんと言おう。

ITとは、人が人とのコミュニケーションをより円滑にするという目的を達成するための手段でなければならず、であるならばITに革命など起こさせるのではなく、人間の下僕として活用してこそITの使命は全うされると思うのだが。

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2007年4月15日日曜日

vol.20 eWOMANが行く 2000/07/18

「i-modeの仕掛人」こと松永真理氏がこの3月にNTTdocomoを退社、女性専用ネット「eWoman」のエディトリアルディレクターに就任することになった。

松永氏は「女性の発想」によってi-modeを大成功に導いたわけだが、今度は女性をターゲットに据えたe-zineで腕を振るうことになったわけである。

しかし、役員に就任する気はないようで、社長を務めるもとCBSキャスターの佐々木かをり氏を助ける人寄せパンダに徹するようである。

提携企業は現在10社、NTTコミュニケーションズ、ニフティ、IBM、ベネッセコーポレーションなどそうそうたる企業が名を連ね、資本金はすでに6億をこえる。

「女性のための○○」というのは決して新しいコンセプトではないし、女人禁制の逆を行くだけの児戯にも劣る発想に思えるのだが、戦略としては「女の発想」というのは高齢の役員がはびこる企業から見ると常に新鮮に映るもののようで、「女の武器」と同等の資産価値があるわけである。

「女性の発想」をシステマティックに引き出すことができるかということに企業が知恵を絞る時代であるという状況分析と、ネットを組み合わせるというのも決して新しいものではないが、そこへベストタイミングで「i-modeの仕掛人」を連れて来た辺りには社長の経営手腕に光るものを感じる。

ビジネスモデルとしては、マーケティングデータの収集とデータマイニングによる解析を行うC2Bモデルだろうが、これをあらためてB2Cへと展開していくことを目的とした企業のニーズに応えることができるかどうかだろう。

女性であろうが男性であろうが、ニーズもシーズもロジックに裏付けられたものではなく、その時の気分に過ぎないものが大部分を占める。

現にi-modeの成功は、アイデアもさることながらそれを戦略的経営判断に基づき意思決定して実行した企業の偉さにあるのである。

「女性の発想を、役員会という男性の意思決定に活かすためのシステムづくり」がいかなる展開を見せるか、9月のスタートを楽しみにしたい。

eWoman→http://www.ewoman.co.jp/

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2007年4月13日金曜日

vol.19 NTTの怪 2000/07/15

NTT法の改正が取り沙汰されている。
通信料の前倒し引き下げとのバーター条件でかなり具体化してきたのだが、一体この巨大企業はいかに生き残りの道を見い出していくのだろうか?

東西合わせて12万人の社員といえば、最近大リストラを敢行したNECとほぼ同じ社員数だが、未だにその印象は電々公社のそれとたいして変わるところはない。

むしろ、番号案内の有料化やサービスの低下も含め、社員の質などは悪くなったと言う方が当たっているかも知れない。また、居直りに見られても仕方のない部分もある。長距離サービスやプロバイダーサービスには参入出来ないという現行法の中であぐらをかいている風にも感じられる。

ところが、新電々やJR系通信会社がNTTよりも安い市内電話料金を発表したとなってはそうもしていられないだろう。「市内電話に関してはNTTを使うしか選択肢がない」という状況が一変し、しかもNTTよりも安いというのであれば現状維持に甘んじる必要は全くないわけである。

これに対抗しうる唯一の方策がNTT法の改正というわけだが、果たして本当に対抗していけるのだろうか?むしろ、消滅させてしまった方が理に適っているのではないだろうか?

NTTから分社した企業が一気に民間企業に対抗出来るだけの力を身につけていっているにもかかわらず、NTTにはユーザーオリエンティッドな発想が欠落したまま今に至っている。

さらに現状の業務は、配線の管理に終始している。電鉄会社に例えれば保線係のようなものである。かろうじて営業収益を上げているのは無人の交換機である。このような会社に出来ることと言えば、電話線レンタル業くらいなもので、法改正によって何が出来るというわけでもあるまい。

新規参入企業によって3分10円を切る電話代が一般化することによってNTTからの乗り換えが急速に進めばNTTの存在理由はなくなってしまうわけで、法改正の必要もないと思うのだが、一向にNTTの声が聞こえてこないというのが不思議である。

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2007年4月8日日曜日

vol.18究極のC2C 2000/07/01

ネットを使用して只で音楽が聴ける。それがナップスターである。

そのダウンロードソフトが開発されて10ヶ月で1000万人が利用したという。さらに驚くのは、このソフトを開発したのは19才の青年である。

日本ではやっとソニーなどが音楽配信を実験的に始めたばかりだというのに、すでにアメリカではその先の世界に行ってしまったわけである。

現在、音楽ダウンロードソフトはMP3と呼ばれるものがスタンダードになっているが、日本の場合1曲20分程度の時間がかかることもあってまだ普及しているとは言えない。

三井物産がADSLの普及に本格的に取り組むことを表明したので、ISDNの10倍程度の通信速度(下りのみ640k/bps)で月額通信料込みで5000円程度の料金設定を確保できる見通しが立ち、音楽配信のメドが立った矢先のことである。

ナップスターの利用方法は実に簡単。HP(http://www.napster.com/)にアクセスし、自分の音楽ファイルを登録。自分が聴きたい曲名を入力すれば自動的にダウンロードされる。勿論自分が登録した曲も誰かがダウンロードすることになる。つまり「ネット上の物々交換市場」がナップスターというわけである。

最近では「発売前の曲」までが「物々交換」されたという事件までが起こっているというから驚きである。

慌てたのはアメリカレコード協会(RIAA)で、著作権の侵害に当たるとしてナップスターを提訴。ナップスター側は、「友人同士のCDの貸し借りと同様」として著作権の侵害には当たらないとしている。

さて、これは究極のC2Cだと思うが、C2Cであってもオークションのような形態をとりながら手数料という形の利益を出して行かざるを得ないと思うが、ナップスターはどうやって利益を出していくのだろうか?

広告収入に頼るという方法は残されているだろう。しかし、そのような「古典的なビジネス」を標榜することはないのではないかとも思える。

現状は只であることがナップスターの言い分を合理化しているのだが、もしダウンロードごとに課金することになればRIAAの言い分が通るかも知れない。ビジネスしていないものがビジネス界に多大な損失を与えるというこの現実にアメリカ法務局はどう対処するのだろうか?

20世紀のビジネス対21世紀のビジネスの相克図がこれから展開されていくことになる。

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2007年3月31日土曜日

vol.17 ビジネスモデル特許 2000/06/20

e-bizのやり方そのものを特許で保護しようという動きが激しくなってきた。

先日(6/14~16)、霞ヶ関で開かれた「三極特許庁専門家会合」に集まった日米欧の三極特許政策担当者によって確認された事項は、
1)特許としての適格性を持つには「技術的価値」が要求される
2)通常の自動化技術を用いて人間が行っている公知の業務方法を単に自動化しただけでは特許性がない
という2点である。

さらに、ヒトゲノム遺伝子の解析では、単に配列情報だけではなく、その機能性について明確化されなければ特許にはならないことでも合意した。

と、まー有り体に言って、これは世界の急速な動きについて行けなくなった日本の特許庁がネット先進国の担当者を招待してお勉強会をしたようなものだが、これによって、ビジネスモデル特許出願の基準を示唆することになったわけで、一定の成果はあったと評価すべきだろう。

特許というのは各業界によって認識がまちまちであり、国によってもはなはだしい違いを見せる。現状、先行している業界やメーカーは、特許自体が「早い者勝ち」によって認定されることから「駄目もと」や「取りあえず」で特許出願してきたわけだが、こういった指標が示されることによってそのような動きも緩和されることになるに違いない。

この会議と前後して松下電工がビジネスモデルの社内公募を発表、最高1000万円の報奨金を支給すると発表した。以前にも社内からアイデアを募るといった動きはあったが、金一封で済ませたり、せいぜい100万円止まりの報奨金支給でお茶を濁してきたわけだが、やっと「アイデアに金を払う」という企業姿勢が見られるようになってきたということができよう。

最近、メーカーが消費者からアイデアを募りそれを商品化する動きがあいついでいるが、このようなアイデアを「只取り」することなく、売り上げの歩合でバックするような制度も同時に導入してほしいものである。

これからは、ビジネスモデルを予め取得しておいて企業に売り込んでくる消費者や社員というのが続々出てくることが予想される。今回の松下電工の動きは、社内の活性化と退職者対策が目的には違いないだろうが、穿った見方をすれば、それらの「囲い込み」と「早期予防」という側面がないとは言えまい。
それにしても、1000万というのは高いのか安いのか?それが問題だ。

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2007年3月25日日曜日

vol.16 MUTTSと出版業界 2000/06/19


マガジンハウスから創刊されたMUTTSという雑誌が面白い。
もともとこの雑誌社は「サイコグラフィック・データ・マーケティング(心理的属性に基づくマーケティング)」、デモグラフィック・データ・マーケティング(年令・所得などの社会的階級に基づいたマーケティング)など従来のマーケティング・メソッドを駆使して人気雑誌を出版してきた会社である。(POPEYE,BRUTUS,OLIVE,HANAKOなど)

そして、そこには人気雑誌=人気編集長の存在、という構図があって、この構図=モノづくりの方程式、であったわけで、この方程式はあらゆるモノづくりにも当てはまるわけである。

ある人間の存在がその雑誌や商品の完成度や感性度までも決定してしまう力を持っているわけで、それは、今でいうところの「カリスマ編集長」や「カリスマ企画者」というような存在であるわけである。

ところが、これを真っ向から否定してかかったのがMUTTSという雑誌の編集方針なのである。
読者はまずネットにアクセスして、好みのBBSやチャットに入り、自分の興味のあることを書き込んだりくっちゃべったりする。すると、それが印刷されてMUTTSに掲載されるのである。おいおい、それって雑誌かよ~~!っと言うなかれ、雑誌なのである。

さーて、これを認めるということは、「消費者の声を商品に反映する」ことを標榜してきた雑誌社やメーカーというのはどうなってしまうのだろう?という疑問がわく。でしょ?でも、わくあなたというのは前世紀の遺物。

この雑誌は「消費者の声を商品にしている」わけだから、既存の価値観で判断できないわけである。もし既存の価値観で判断してしまうと「編集者不在の雑誌」というレッテルを貼って無視するしかない代物ということになる。

ところが、ここがこの雑誌社の面白いところで、「情報収集能力にプロもアマもない」と割り切った。ただし、編集方針というのはあるわけで、「かじ取りに徹する」という方針によってそれを実現していこうというわけである。

この辺りにIT革命のキーワードがあると思うのだが、「立場を全うしたい前世紀の編集者」たちがのさばる出版業界に理解できるかどうか・・・・。
ちょっとわくわくしながら見守っていきたい雑誌だと思うのだが。


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