2007年2月21日水曜日

vol.10 100兆円とCRM 2000/05/11

100兆円なのだそうである。今年から来年にかけての郵便貯金の定期預金の満期払い戻し金の合計額がである。

これを巡って国内外の銀行、証券、VC入り乱れての争奪戦が繰り広げられているそうである。額が額なので全くピンと来ませんがね。

その第1回目の払い戻しが先日行われたわけだが、この争奪戦は、圧倒的な郵便局の優勢を見せつけ、何と60%が「再回収」されたそうである。つまり、残りの40%が巷へと「流出」したということになるわけである。しかも、それは国内に留まることなく殆どがアメリカに向かったというのが大方の見方である。

ところで、最近のマーケティングでは、CRM(Customer Relationship Management)という手法が注目されている。これは、従来の「大衆」を対象にしたマスマーケティング手法ではなく、「個人1人1人」を対象にした、いわゆる1to1マーケティングの究極の姿であり、消費者1人1人のニーズをmining(掘り起こす)することによって適材適所的販売を行おうというものである。

こういう考え方からすると、また消費者というものがそういうものであるのならば、100兆円という金には十人十色の遣い道があってもよさそうなものであるが、どうやらこれらのお金持ちというのはお上に献上金を差し出すのと同じことをするもののようである。もしくは、お金持ちというのは消費者ではないということなのだろう。

さて、ここに面白い符合がある。100兆円の40%に当たる40兆円と銀行の不良債券額は同一であるという符合である。郵便貯金というのは国庫金、先の銀行への「公的資金」というのも国庫金。また国民不在の妙な引き算が起こらないことを祈るばかりである。

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2007年2月19日月曜日

vol.9 ジャパニーズスタンダード 2000/05/05

インターネットのデータ通信方式としてADSLが急浮上してきた。
これは郵政省が、アメリカのネット接続料値下げ要求を受けて、昨年から実験していた新方式を繰り上げ導入することにしたのではないかと思われる。

ADSL(アシンクロナス・デジタル・サブスクライバー・ライン=非対称デジタル加入者線)は、通常の電話回線を使用するにもかかわらず、640Kbpsを実現する新技術である。つまり、現在のISDNの10倍のスピードでの通信が可能なのである。

そんな技術があるのなら、どうしてさっさと導入しないんだ!という消費者の気持ちなどお構い無しに事を運ぶのが官庁というわけだから仕方がないにしても、やっと6月にISDNの定額制がスタートするというのに、ADSLもほぼ同時に導入すると郵政省はいう。

こうなると戦略も何もあったものではないのだが、すでに尻に火がついているということなのだろう。こういう見境のない決断をするところも、官僚というのがいかにご都合主義の連中たちかというのが良く分かる。

ADSLは電話交換機を通さないで運用される。さらにダウンが640Kbps、アップが200Kbpsという非対称の実効スピードで運営される。実は、ADSLというのは「電話交換機を通さない」というところにハイスピード実現のポイントがあり、NTTによる回線の独占を放棄させることで実現した技術なのである。

しかし、次世代通信インフラに1Mbps以上の通信速度が要求されていることを考えると、これもまたその場しのぎでしかないことは見え見え。光ファイバーを各家庭に引き込むというのが抜本的解決策であることは分かり切っているのだから、ここはすべてのODAを中止してでも取り組まなければならない国家インフラであるはずなのだが。

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2007年2月18日日曜日

vol.8 ブルーウィーク 2000/05/03

ゴールデンウィークということである。(昔は「飛び石連休」と言っていた)
毎年この期間については疑問に思うことがある。3日が憲法記念日、5日が子供の日というのはいいのだが、間の4日の「国民の休日」というのが納得できない。(もう一つ、昭和天皇の誕生日が祭日というのも)

間に挟まった平日を「めんどうくせー、休みにしちまえ!」というのが「国民の休日」というのが何とも乱暴なのである。実はこれはILO向けの年間労働時間を達成するための辻褄合わせの「強制休日」なのだが、「国民の休日」である以上、「非国民」にとっては休日ではないのだろう。

今日も非国民である「楽天市場」と小説家村上龍が編集長をやっているメイルマガジン「JMM」からメイルが届いた。ネットは24時間365日営業なので全く驚くに値しないのだが、ネット非国民はY2K問題での恨みをはらさんと海外に出かけ、大企業はあいも変わらず9連休をむさぼっている。

そもそもリクリエーションというのは労働再生産という日本語なので、ブルーカラーが英気を養うために実施されるものであるから決してそれを否定するものではないが、1年でも最も過ごしやすい気候の5月に宗教行事でもないのに1週間以上休むという習慣を持っているのは、世界広しといえども我が国くらいなものである。(年間の祭日、日曜日をまとめると2ヶ月くらいになるので、年2回1ヶ月ずつ休む方がリクリエーションとしては効果的だと思う)

国民皆ネット制が世界の趨勢になろうとしているのに、20世紀の遺物のようなライフスタイルを引きずっているブルーカラーのライフスタイルというのはアナクロニズムの極地、毎年ブルーな気分にさせられるのはわたしだけだろうか。

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2007年2月17日土曜日

vol.7 ビットバレーの現状 2000/05/01

渋谷界隈に集積しつつあるアントレプレナーたちは大別して3つの世代から構成されている。
それは20代、30代、40代である。20代は学生起業家を含む世代であり、30代は脱サラ組であり、40代は既存事業からの参入組である。

また、こうも言える。20代は学生時代にネットの可能性に出会った人々であり、30代はネットで一山当てようと起業した人々であり、40代はネットの普及に腐心している人々である、と。
さて、玉石混交のビットバレーの住人たちであるが、わたしは30代の人々の起業家たちに危うさを覚える。彼らの親たちは我が国におけるバブルの功罪をまともに被った人々であり、それを見て育ったバブル2世たちだからである。

30代の人々が、20代、40代の初々しくも愚直なネット信仰に比べ、土地に代わる資産としての価値をネットに求めていることがありありと窺えるのは、「値段を釣り上げておいて売る」ために会社を作るという行為の中に見ることができる。

ハイタッチなものであろうがロータッチなものであろうが、所詮、それは人間に対して供給されて初めて意味を持つものである。この部分が欠落してしまうと一体どうなるのか?
VCからの融資を受けることにより資金集めが簡単に行える→だから会社を作る→もっと資金を集めるためにIPOする→集まった金で会社をまた作る→作った会社で金を集める→集めた金で会社を買収する・・・。

これはいつか来た道と変わるところがない。ネットバブルを弾けさせることのないように、本当の意味でのIT革命を望みたいものである。

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2007年2月16日金曜日

vol.6 ネットバブルの実体 2000/04/27

ネットバブルであるということである。何がそうかというと、ネット関連やIT関連のベンチャー企業という全く正体の分からない業界にだけ金が集まっているからだということである。

バブルという言葉は土地神話全盛の頃の言葉で、土地という実体のあるものに対してその実体の価値以上の価値を付加していって最後にパンクしてしまったことから生まれた言葉である。しかし経済と言うのは、投資家が投資先を常に求めるようにバブルを求めるものである。

で、次の投資先としてネットやITやというものが浮上してきただけのことで、このこと自体は驚くに値しない。驚くべきは、全く儲かっていない企業や、これから儲けようと思っている企業(まだ企業ですらないものも含む)に金が集まっていることである。

もちろん、将来性や期待値に対しての投資なのだろうが、企業と言うものの持つ社会性や永続性という要素は投資の判断基準として全くと言っていいほど加味されていない。従って、投資というよりも投機であり、先物取り引きと同じマネーゲームなのである。こうした認識のもとに、欧米では常識の「高く売るため会社を立ち上げる」起業家が日本でも誕生し始めていることは喜ばしいことである。

だが、ベンチャー企業の経営者の中にも自分独自のコンセプトを実現して社会性を獲得したいと思っているまともな少数派(?)もいるわけで、こういうものがこつこと畑を耕しているうちに気が付くと周りを牧場にされてしまっていたというような危険と背中合わせの状況であることも疑う余地のないところである。とまれ、ネットバブルというものに実体があるとするならば、「ネットの実体を理解することの出来ない投機家が、実体のない金を注ぎ込んでいる」というのが穿った見方ではないだろうか。

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2007年2月15日木曜日

vol.5 パーミッションマーケティングのギミック 2000/04/20

パーミッションマーケティングが大はやりである。HP閲覧の軌跡を追跡してDB化し、データマイニングによって個人個人のニーズに合った情報をフィードバックしようということのようである。

これはかつては市場調査でも行われていた古典的KJ法と何ら変わるところはない。回答をふるいにかけるスクリーニングという部分をクッキー機能に置き換えただけのことで、そうであるがゆえになおさら始末が悪い。

なぜかというと、マーケッターなら誰でも知っていることだが、消費者というのは必ず嘘をつく生き物であり、自分で書いたアンケートの中には必ず嘘が混じっている、という事実である。これは、「日本人の8割が自分の事を中流と思っている」という奇妙な意識調査の結果によっても証明されているところである。勿論これは、上流、中流、下流、などという抽象的な選択肢の中から選ばせるという理由にもよるが、この嘘に対してバイアスをかけるという作業が欠如していることが大きい。

バイアスをかけずに、回答を鵜呑みにして次の策略を仕掛けるというのがいかに無謀なことかというのはほんの少しの想像力があれば分かることなのに、なぜこんなことが今さら注目されるのかというと、やはりアクセス数至上主義の影響で、10より1000は信頼できるという「サンプル数至上主義=DB至上主義」が復活(台頭?)してきたことを意味しているのだろう。

1度旨いというと、何度も同じおかずを作り続ける新妻のような愚直なマーケティングがいつまでも続かないことを願いたいものである。

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2007年2月13日火曜日

vol.4 銀行再編の時代錯誤 2000/04/19

最初からそうすればいいのにと思うような最近の銀行再編劇であるが、何のことはない、良く見ると江戸時代そのままの旧財閥系の銀行に収斂していっただけのことで、お粗末きわまりない。

フランス革命(1789年)当時でさえアンシャン・レジーム(旧体制)打倒を旗印にしたというのに、あれから200年以上経っても「旧体制維持!」を旗印にしているのだからお寒い限りである。
時代は今やネット銀行に向かい、携帯端末で決済する時代だと言うのに、今後、合併後の支店の統廃合と行員のリストラにやっきとならざるを得ないのだから見放されてしかるべきだろう。

これに引き換え、シティバンク(預金残高30万円を切ると口座維持費が毎月1万円請求されてくるので
わたしはこの銀行は嫌いだが)などは顧客数10億を目指しているというのだからいくら合併しても追い付きっこない。

ネット銀行の決済はネット上で行われるわけだから、支店も行員も巨大なビルも全く不要で、いつでもどこでも安全かつスピーディな決済機能だけが銀行に求められる全てなのである。

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