2007年2月28日水曜日

vol.12 音楽配信大戦争 2000/05/28

三つ巴の闘いという様相を呈してきた感がある音楽配信である。

国内で最初に言い出したのはソニー(SME)だったと思うが、その後を追うようにして松下、東芝が参入を表明。更にNTTに第2電々、と続々と参入を表明するに至って、まさに百家騒鳴状態にある。
音楽配信というのは、デジタル化された音源を、われわれユーザーが、配信会社のサーバーから何らかの端末にダウンロードし、再生することによって実現する。

つまり、ラジオならチューナーに触るだけで色々な音楽を只で聞くことができるが、音楽配信の場合は、好みの音楽を有料で(1曲100円~300円程度)ダウンロードし、さらに再生する必要がある。たとえば、最近の標準圧縮技術であるMP3でパソコンにダウンロードする場合、3分程度の楽曲でもISDNで10分程度かかる(ADSLが実現すれば1分程度になりやっと現実的な話になる)。次世代の端末として目される携帯、PHSでダウンロードしても5分程度がかかる。

ただですら面倒臭そうなのに、これにメーカー各社の配信技術の違いによって現在、ソニー、松下・東芝、三洋・日立の3陣営に別れてしのぎを削っているのである。この闘いはまたダウンロードしたデジタル音源=音楽データをため込むためのメモリーチップ戦争でもあり、メモリースティック対メモリーカード対フラッシュメモリーの闘いでもあって、かつて繰り広げられたVTR戦争、β対VHSの闘いよりも熾烈さを増している。

こうして音楽配信を取り巻く環境は整いつつあるようなのだが、肝心のコンテンツはというとレコード会社に依存することになるそうで、レコード会社は、CDで売るのをパッケージ販売というのに対し「ノンパッケージ」販売と呼んでいる。

さて、配信規格もメモリーも価格も一定に統一されたとして、このドッグイヤーの時代にあって、CDより早く、安く、自分の聴きたい音楽が聴けるということに一体いかほどの付加価値が見出せるのだろうか、ということについて論じられたものはまだないというのがいつもながら気がかりなところである。


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2007年2月27日火曜日

vol.11 ビットバレーデビュー 2000/05/18

50からは東京だ!東京行くならe-bizだ!こう思い立ったのが3月。6月27日、わたしは51才になるので、残された期限は3ヶ月だった・・・・。

4月:事務所住所決定、名刺作成、リクルート開始。5月:仕事探し、仕事決定。6月:住居決定、上京。ホップ、ステップ、ジャンプでいってみよう!という乱暴なプランで動き始めて1ヶ月半、上京3度目にして1つ仕事が見つかった。(ご協力頂いた皆様、本当にありがとうございます!)
渋谷、いわゆるビットバレーでのデビューは6月24日(土)、51才の誕生日の3日前になる。滑り込みセーフ!である。内容は、e-marketingの講師。本当は、現役でe-コンサルの仕事をと思っているのだが、担当の方からは「若きe-exectiveを養成していただきたい」という現役リタイア宣告書を突き付けられた。

もっとも20代、30代が目白押しのこの業界にあって、50でデビューというのも遅きに失したのもいいところではあるが、ネットやECやe-bizなんてわたしの若い頃には存在しなかったのだから仕方がない。

しかし、講師と言うのも考えようによっては悪くないわけで、「学ぼうと思えば教えよ」ということわざ(そんなのあるのか?)通り、知識を身につける最短距離である。かくなる上は、若者のエネルギーを吸収して楽していいとこ取りしてやろう、と目論んでいる。

だれにでも20代、30代はあったわけだし、それぞれの世代がいかに汗顔ものであったかは記憶に新しい。しかも、それがe-bizだからといってビジネスの根幹が変わるわけではない。手段は変わるが目的は変わらないのである。(そう思わなければやってられないだけだが)

実際、最近のマーケティング自体、マーケターの夢を実現するようなマーケティング手法が台頭してきて、隔世の感を抱く前に、「便利になったなー!」という感慨の方が先に立つ。

こんな未曾有のチャンスをガキ共に独占させておく手はないのである。このチャンスに昔取った杵柄と老練さをぶち込んで、時流に乗ってみようと思うのである。


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2007年2月21日水曜日

vol.10 100兆円とCRM 2000/05/11

100兆円なのだそうである。今年から来年にかけての郵便貯金の定期預金の満期払い戻し金の合計額がである。

これを巡って国内外の銀行、証券、VC入り乱れての争奪戦が繰り広げられているそうである。額が額なので全くピンと来ませんがね。

その第1回目の払い戻しが先日行われたわけだが、この争奪戦は、圧倒的な郵便局の優勢を見せつけ、何と60%が「再回収」されたそうである。つまり、残りの40%が巷へと「流出」したということになるわけである。しかも、それは国内に留まることなく殆どがアメリカに向かったというのが大方の見方である。

ところで、最近のマーケティングでは、CRM(Customer Relationship Management)という手法が注目されている。これは、従来の「大衆」を対象にしたマスマーケティング手法ではなく、「個人1人1人」を対象にした、いわゆる1to1マーケティングの究極の姿であり、消費者1人1人のニーズをmining(掘り起こす)することによって適材適所的販売を行おうというものである。

こういう考え方からすると、また消費者というものがそういうものであるのならば、100兆円という金には十人十色の遣い道があってもよさそうなものであるが、どうやらこれらのお金持ちというのはお上に献上金を差し出すのと同じことをするもののようである。もしくは、お金持ちというのは消費者ではないということなのだろう。

さて、ここに面白い符合がある。100兆円の40%に当たる40兆円と銀行の不良債券額は同一であるという符合である。郵便貯金というのは国庫金、先の銀行への「公的資金」というのも国庫金。また国民不在の妙な引き算が起こらないことを祈るばかりである。

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2007年2月19日月曜日

vol.9 ジャパニーズスタンダード 2000/05/05

インターネットのデータ通信方式としてADSLが急浮上してきた。
これは郵政省が、アメリカのネット接続料値下げ要求を受けて、昨年から実験していた新方式を繰り上げ導入することにしたのではないかと思われる。

ADSL(アシンクロナス・デジタル・サブスクライバー・ライン=非対称デジタル加入者線)は、通常の電話回線を使用するにもかかわらず、640Kbpsを実現する新技術である。つまり、現在のISDNの10倍のスピードでの通信が可能なのである。

そんな技術があるのなら、どうしてさっさと導入しないんだ!という消費者の気持ちなどお構い無しに事を運ぶのが官庁というわけだから仕方がないにしても、やっと6月にISDNの定額制がスタートするというのに、ADSLもほぼ同時に導入すると郵政省はいう。

こうなると戦略も何もあったものではないのだが、すでに尻に火がついているということなのだろう。こういう見境のない決断をするところも、官僚というのがいかにご都合主義の連中たちかというのが良く分かる。

ADSLは電話交換機を通さないで運用される。さらにダウンが640Kbps、アップが200Kbpsという非対称の実効スピードで運営される。実は、ADSLというのは「電話交換機を通さない」というところにハイスピード実現のポイントがあり、NTTによる回線の独占を放棄させることで実現した技術なのである。

しかし、次世代通信インフラに1Mbps以上の通信速度が要求されていることを考えると、これもまたその場しのぎでしかないことは見え見え。光ファイバーを各家庭に引き込むというのが抜本的解決策であることは分かり切っているのだから、ここはすべてのODAを中止してでも取り組まなければならない国家インフラであるはずなのだが。

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2007年2月18日日曜日

vol.8 ブルーウィーク 2000/05/03

ゴールデンウィークということである。(昔は「飛び石連休」と言っていた)
毎年この期間については疑問に思うことがある。3日が憲法記念日、5日が子供の日というのはいいのだが、間の4日の「国民の休日」というのが納得できない。(もう一つ、昭和天皇の誕生日が祭日というのも)

間に挟まった平日を「めんどうくせー、休みにしちまえ!」というのが「国民の休日」というのが何とも乱暴なのである。実はこれはILO向けの年間労働時間を達成するための辻褄合わせの「強制休日」なのだが、「国民の休日」である以上、「非国民」にとっては休日ではないのだろう。

今日も非国民である「楽天市場」と小説家村上龍が編集長をやっているメイルマガジン「JMM」からメイルが届いた。ネットは24時間365日営業なので全く驚くに値しないのだが、ネット非国民はY2K問題での恨みをはらさんと海外に出かけ、大企業はあいも変わらず9連休をむさぼっている。

そもそもリクリエーションというのは労働再生産という日本語なので、ブルーカラーが英気を養うために実施されるものであるから決してそれを否定するものではないが、1年でも最も過ごしやすい気候の5月に宗教行事でもないのに1週間以上休むという習慣を持っているのは、世界広しといえども我が国くらいなものである。(年間の祭日、日曜日をまとめると2ヶ月くらいになるので、年2回1ヶ月ずつ休む方がリクリエーションとしては効果的だと思う)

国民皆ネット制が世界の趨勢になろうとしているのに、20世紀の遺物のようなライフスタイルを引きずっているブルーカラーのライフスタイルというのはアナクロニズムの極地、毎年ブルーな気分にさせられるのはわたしだけだろうか。

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2007年2月17日土曜日

vol.7 ビットバレーの現状 2000/05/01

渋谷界隈に集積しつつあるアントレプレナーたちは大別して3つの世代から構成されている。
それは20代、30代、40代である。20代は学生起業家を含む世代であり、30代は脱サラ組であり、40代は既存事業からの参入組である。

また、こうも言える。20代は学生時代にネットの可能性に出会った人々であり、30代はネットで一山当てようと起業した人々であり、40代はネットの普及に腐心している人々である、と。
さて、玉石混交のビットバレーの住人たちであるが、わたしは30代の人々の起業家たちに危うさを覚える。彼らの親たちは我が国におけるバブルの功罪をまともに被った人々であり、それを見て育ったバブル2世たちだからである。

30代の人々が、20代、40代の初々しくも愚直なネット信仰に比べ、土地に代わる資産としての価値をネットに求めていることがありありと窺えるのは、「値段を釣り上げておいて売る」ために会社を作るという行為の中に見ることができる。

ハイタッチなものであろうがロータッチなものであろうが、所詮、それは人間に対して供給されて初めて意味を持つものである。この部分が欠落してしまうと一体どうなるのか?
VCからの融資を受けることにより資金集めが簡単に行える→だから会社を作る→もっと資金を集めるためにIPOする→集まった金で会社をまた作る→作った会社で金を集める→集めた金で会社を買収する・・・。

これはいつか来た道と変わるところがない。ネットバブルを弾けさせることのないように、本当の意味でのIT革命を望みたいものである。

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2007年2月16日金曜日

vol.6 ネットバブルの実体 2000/04/27

ネットバブルであるということである。何がそうかというと、ネット関連やIT関連のベンチャー企業という全く正体の分からない業界にだけ金が集まっているからだということである。

バブルという言葉は土地神話全盛の頃の言葉で、土地という実体のあるものに対してその実体の価値以上の価値を付加していって最後にパンクしてしまったことから生まれた言葉である。しかし経済と言うのは、投資家が投資先を常に求めるようにバブルを求めるものである。

で、次の投資先としてネットやITやというものが浮上してきただけのことで、このこと自体は驚くに値しない。驚くべきは、全く儲かっていない企業や、これから儲けようと思っている企業(まだ企業ですらないものも含む)に金が集まっていることである。

もちろん、将来性や期待値に対しての投資なのだろうが、企業と言うものの持つ社会性や永続性という要素は投資の判断基準として全くと言っていいほど加味されていない。従って、投資というよりも投機であり、先物取り引きと同じマネーゲームなのである。こうした認識のもとに、欧米では常識の「高く売るため会社を立ち上げる」起業家が日本でも誕生し始めていることは喜ばしいことである。

だが、ベンチャー企業の経営者の中にも自分独自のコンセプトを実現して社会性を獲得したいと思っているまともな少数派(?)もいるわけで、こういうものがこつこと畑を耕しているうちに気が付くと周りを牧場にされてしまっていたというような危険と背中合わせの状況であることも疑う余地のないところである。とまれ、ネットバブルというものに実体があるとするならば、「ネットの実体を理解することの出来ない投機家が、実体のない金を注ぎ込んでいる」というのが穿った見方ではないだろうか。

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2007年2月15日木曜日

vol.5 パーミッションマーケティングのギミック 2000/04/20

パーミッションマーケティングが大はやりである。HP閲覧の軌跡を追跡してDB化し、データマイニングによって個人個人のニーズに合った情報をフィードバックしようということのようである。

これはかつては市場調査でも行われていた古典的KJ法と何ら変わるところはない。回答をふるいにかけるスクリーニングという部分をクッキー機能に置き換えただけのことで、そうであるがゆえになおさら始末が悪い。

なぜかというと、マーケッターなら誰でも知っていることだが、消費者というのは必ず嘘をつく生き物であり、自分で書いたアンケートの中には必ず嘘が混じっている、という事実である。これは、「日本人の8割が自分の事を中流と思っている」という奇妙な意識調査の結果によっても証明されているところである。勿論これは、上流、中流、下流、などという抽象的な選択肢の中から選ばせるという理由にもよるが、この嘘に対してバイアスをかけるという作業が欠如していることが大きい。

バイアスをかけずに、回答を鵜呑みにして次の策略を仕掛けるというのがいかに無謀なことかというのはほんの少しの想像力があれば分かることなのに、なぜこんなことが今さら注目されるのかというと、やはりアクセス数至上主義の影響で、10より1000は信頼できるという「サンプル数至上主義=DB至上主義」が復活(台頭?)してきたことを意味しているのだろう。

1度旨いというと、何度も同じおかずを作り続ける新妻のような愚直なマーケティングがいつまでも続かないことを願いたいものである。

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2007年2月13日火曜日

vol.4 銀行再編の時代錯誤 2000/04/19

最初からそうすればいいのにと思うような最近の銀行再編劇であるが、何のことはない、良く見ると江戸時代そのままの旧財閥系の銀行に収斂していっただけのことで、お粗末きわまりない。

フランス革命(1789年)当時でさえアンシャン・レジーム(旧体制)打倒を旗印にしたというのに、あれから200年以上経っても「旧体制維持!」を旗印にしているのだからお寒い限りである。
時代は今やネット銀行に向かい、携帯端末で決済する時代だと言うのに、今後、合併後の支店の統廃合と行員のリストラにやっきとならざるを得ないのだから見放されてしかるべきだろう。

これに引き換え、シティバンク(預金残高30万円を切ると口座維持費が毎月1万円請求されてくるので
わたしはこの銀行は嫌いだが)などは顧客数10億を目指しているというのだからいくら合併しても追い付きっこない。

ネット銀行の決済はネット上で行われるわけだから、支店も行員も巨大なビルも全く不要で、いつでもどこでも安全かつスピーディな決済機能だけが銀行に求められる全てなのである。

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2007年2月12日月曜日

vol.3 アンダーセンコンサルティングの押し売り 2000/04/18

今日の日経新聞の朝刊によると、アンダーセンコンサルティング(この会社はEC関係のコンサルを積極的に行っている。1時間のコンサルで20万円~50万円という。わたしもネット試験を受けたが年令制限で落ちた経験がある)が上場前のヴェンチャー企業に対して6ヶ月間という制限付きながら、無償でコンサルを行うだけでなく、VCを紹介したりして会社をあげて育成を図るという。

見事軌道に乗った場合には、顧客として有料のコンサル料を受け取ったり、上場時の株をコンサル料として受け取ったりするという。ここまで来たか!という感を強くする記事である。
早い時期から可能性のありそうな企業に目を付ける、というならまだ分かるが、「可能性のある企業に育て、そこから絞り取る」という発想は流石に牧畜民族らしい。種を植え、後は運を天に任せて稔りを待つ、という農耕民族とは明らかに違う。

アイデアと先行者利益の第1次EC時代は早くも終わりを告げ、大企業のEC参入を尻目にヴェンチャーを育成していくことのメリットというのがあると踏んだからこその意志表示であろうから、そこに横たわる既存大企業の抱える「戦後処理」に費やさざるを得ない労力と時間の膨大さに改めて気づかされるわけである。

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2007年2月11日日曜日

vol.2 松下電器のネット通販参入 2000/04/17

4月11日、ソニーの後を追うようにして松下電器がネット通販に参入することを表明した。
ところが、この2社には既存流通網に関して大きな違いがある。松下自身このことは十分に意識しての物流政策が講じられているのだが、この政策を飲む販売店がいるのだろうか?

ネット通販参入に当たってのソニーの政策は、単に「ネット価格と店頭価格は同一」という明解なものであったが、松下のそれは、2万軒の「販売店をコンビニ化する」というものである。すなわち、物流のデポとして販売店に生き残りのチャンスを与えようというものである。

だが、この方法は先のvol.1でも指摘しておいた通り、過渡期の時代錯誤の方法であり、急速に消滅していくものである。

流通の中抜きがネットの最大の特長であるわけで、しかも自宅のゲーム機やテレビで注文ができる時代に、わざわざ販売店に出向く人がいるとは思わない。意識のある販売店ならメーカーにぶら下がらずに転廃業を考えるだろうから、むしろ、地域のコミュニティセンターの役割を持たせることを考えた方がいいだろうし、それを支援してショールーム化を図るようなことを考えた方がいいだろう。要は物流の前線基地から情報収集の前線基地への転換が急務なわけで、そのことは織り込み済みの参入宣言であることを祈りたい。

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2007年2月10日土曜日

vol.1 e-commerceの展望 2000/04/15

1999年までの沈黙を破り、我が国のEC環境は突然の進化をとげたかのような印象を受ける。
年明け早々、ソニーのネット銀行の立ち上げとイトーヨーカ堂の銀行参入表明に始まったノンバンク系企業の決済機能の獲得合戦の火蓋が切って落とされた。

これに続いて新規出店数と売り上げの鈍った店鋪をe-commerceのデポとして活用する案が各コンビニから提出されたが、これは生き残りをかけるコンビニ経営者の時代錯誤の産物でしかないことは、ソニーのPLAY STATION2が次世代ネット端末としてネット予約販売されたことや、NTTドコモの携帯電話i-modeの販売代数がPCが10年かかって達成した販売代数をたったの1年で抜き去ってしまったことを見れば明らかである。

企業は降ってわいたように「IT革命」を唱えているが、その中身は単なるデジタル化でしかない。曲がりなりにも「革命」という以上、物の本質が「逆転」してしまうことが前提にならなければならない。従って、企業が「革命」を唱えるというのは自己矛盾であることは疑う余地のないところである。
「IT革命」は企業側からは決して起こらない。革命を起こすのは、いつの時代にあっても「民衆」の側であり、現代の経済用語でいえば、これは「消費者」に該当するのである。

1)B2Bのくだらなさ
「IT革命」の端的な例は、競合企業間の情報公開によって部品の調達を行おうとするB2Bであるが、何のことはない、これはなりふり構わぬリストラを部品調達という形で行なおうというものである。
下請けを叩くのにも限界を感じてきた企業が競合の枠をとっ払って「協同で下請け叩き」をしているだけである。

2)B2Cの情けなさ
さらに、B2Cと言えば従来は「直販」と呼ばれていた商取引をネット上で行うことを指しているようだが、これもまた「設備投資の少ない販売形態」として各企業から注目を浴びているに過ぎない過渡期の商取引方法である。

ネット上のショッピング・モールには無限に商品を掲載することが理論上は可能であることから、各企業は「楽天市場」の柳の下のドジョウを狙って参入を目論んでいるが、商品を販売店に突っ込むだけが営業努力であった企業に消費者など見えているはずもなく、関係者だけしかアクセスしない閑古鳥の鳴くモールになることは火を見るよりも明らかである。

さらに、せこい調査意識に基づいてアンケートを取ったり、マーケティング戦略の一環として運営したり、広告露方法の調査として活用したりしているが、まったくもってネットというメディアの使用方法を逸脱しているとしかいいようがない。

3)C2Bの時代が始まっている
ITが革命をもたらすとすれば、BとCの立場が逆転した状況が現出したときであろう。では、C2Bとはいかなる商取引の形態なのか。消費者が企業に商品を販売する形態ということになるわけだが、実際に商品を販売するわけではない。「商品化情報」を販売するのである。また、価格決定権はこの時点で消費者が握ることになる。

これはすでに始まっている。ポータルサイトには1日100万アクセスといった通常では考えられない数の人々がやってくる。これらの人々の属性をとることができればこれは他の手段では考えられない定性分析と定量分析とが同時に行えることになる。
現在、各検索エンジンサービスはポータルサイトの覇権争いの時代に突入したが、ここに集まる個人情報を宝の山に変貌させるさせるためのコンテンツ開発が耳目を集めることになるだろう。

4)C2Cで革命が完了する
C2Bの行く先はC2Cである。C2Cは大変分かりやすい概念である。消費者が価格決定権を完全に掌握するとともに、消費者に販売するということになるわけだが、この時点ではすでにconsumerという概念ではなく、productを行うconsumerすなわちprosumerとして消費者は変貌していることになる。
prosumerという言葉は決して新しいものではないが、この概念に相当する人々がメジャーな形で顕在化したことはかつてなかった。

C2Cの萌芽は、e-bayや楽天市場100円オークション、yahoo!オークションなどにみることができる。ここでは企業には価格決定権はなく、消費者の「言い値」によって商取引が行われる。つまり、ここでは企業が入札業者にすぎない。このとき今B2Bで行っている「下請け叩きを消費者から受ける」立場に逆転するのである。これが「IT革命」の行き着く先であり、e-commerceの終着駅なのである。

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2007年2月9日金曜日

はじめに

このeConsultant's POVシリーズは2000年にはじめたもので、最初から読んでみると、結構わたし自身でも笑えることが書いてある。(当たった、外れたという興味本位だけでも楽しめるかも)
2000年から2007年、たったの1ドッグイヤーでどれだけ変わったのか、それを検証することができるわけだ。そういうことで、新たに書く前に、これをアーカイブで掲載していくことにした。

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