2007年2月15日木曜日

vol.5 パーミッションマーケティングのギミック 2000/04/20

パーミッションマーケティングが大はやりである。HP閲覧の軌跡を追跡してDB化し、データマイニングによって個人個人のニーズに合った情報をフィードバックしようということのようである。

これはかつては市場調査でも行われていた古典的KJ法と何ら変わるところはない。回答をふるいにかけるスクリーニングという部分をクッキー機能に置き換えただけのことで、そうであるがゆえになおさら始末が悪い。

なぜかというと、マーケッターなら誰でも知っていることだが、消費者というのは必ず嘘をつく生き物であり、自分で書いたアンケートの中には必ず嘘が混じっている、という事実である。これは、「日本人の8割が自分の事を中流と思っている」という奇妙な意識調査の結果によっても証明されているところである。勿論これは、上流、中流、下流、などという抽象的な選択肢の中から選ばせるという理由にもよるが、この嘘に対してバイアスをかけるという作業が欠如していることが大きい。

バイアスをかけずに、回答を鵜呑みにして次の策略を仕掛けるというのがいかに無謀なことかというのはほんの少しの想像力があれば分かることなのに、なぜこんなことが今さら注目されるのかというと、やはりアクセス数至上主義の影響で、10より1000は信頼できるという「サンプル数至上主義=DB至上主義」が復活(台頭?)してきたことを意味しているのだろう。

1度旨いというと、何度も同じおかずを作り続ける新妻のような愚直なマーケティングがいつまでも続かないことを願いたいものである。

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2007年2月13日火曜日

vol.4 銀行再編の時代錯誤 2000/04/19

最初からそうすればいいのにと思うような最近の銀行再編劇であるが、何のことはない、良く見ると江戸時代そのままの旧財閥系の銀行に収斂していっただけのことで、お粗末きわまりない。

フランス革命(1789年)当時でさえアンシャン・レジーム(旧体制)打倒を旗印にしたというのに、あれから200年以上経っても「旧体制維持!」を旗印にしているのだからお寒い限りである。
時代は今やネット銀行に向かい、携帯端末で決済する時代だと言うのに、今後、合併後の支店の統廃合と行員のリストラにやっきとならざるを得ないのだから見放されてしかるべきだろう。

これに引き換え、シティバンク(預金残高30万円を切ると口座維持費が毎月1万円請求されてくるので
わたしはこの銀行は嫌いだが)などは顧客数10億を目指しているというのだからいくら合併しても追い付きっこない。

ネット銀行の決済はネット上で行われるわけだから、支店も行員も巨大なビルも全く不要で、いつでもどこでも安全かつスピーディな決済機能だけが銀行に求められる全てなのである。

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2007年2月12日月曜日

vol.3 アンダーセンコンサルティングの押し売り 2000/04/18

今日の日経新聞の朝刊によると、アンダーセンコンサルティング(この会社はEC関係のコンサルを積極的に行っている。1時間のコンサルで20万円~50万円という。わたしもネット試験を受けたが年令制限で落ちた経験がある)が上場前のヴェンチャー企業に対して6ヶ月間という制限付きながら、無償でコンサルを行うだけでなく、VCを紹介したりして会社をあげて育成を図るという。

見事軌道に乗った場合には、顧客として有料のコンサル料を受け取ったり、上場時の株をコンサル料として受け取ったりするという。ここまで来たか!という感を強くする記事である。
早い時期から可能性のありそうな企業に目を付ける、というならまだ分かるが、「可能性のある企業に育て、そこから絞り取る」という発想は流石に牧畜民族らしい。種を植え、後は運を天に任せて稔りを待つ、という農耕民族とは明らかに違う。

アイデアと先行者利益の第1次EC時代は早くも終わりを告げ、大企業のEC参入を尻目にヴェンチャーを育成していくことのメリットというのがあると踏んだからこその意志表示であろうから、そこに横たわる既存大企業の抱える「戦後処理」に費やさざるを得ない労力と時間の膨大さに改めて気づかされるわけである。

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2007年2月11日日曜日

vol.2 松下電器のネット通販参入 2000/04/17

4月11日、ソニーの後を追うようにして松下電器がネット通販に参入することを表明した。
ところが、この2社には既存流通網に関して大きな違いがある。松下自身このことは十分に意識しての物流政策が講じられているのだが、この政策を飲む販売店がいるのだろうか?

ネット通販参入に当たってのソニーの政策は、単に「ネット価格と店頭価格は同一」という明解なものであったが、松下のそれは、2万軒の「販売店をコンビニ化する」というものである。すなわち、物流のデポとして販売店に生き残りのチャンスを与えようというものである。

だが、この方法は先のvol.1でも指摘しておいた通り、過渡期の時代錯誤の方法であり、急速に消滅していくものである。

流通の中抜きがネットの最大の特長であるわけで、しかも自宅のゲーム機やテレビで注文ができる時代に、わざわざ販売店に出向く人がいるとは思わない。意識のある販売店ならメーカーにぶら下がらずに転廃業を考えるだろうから、むしろ、地域のコミュニティセンターの役割を持たせることを考えた方がいいだろうし、それを支援してショールーム化を図るようなことを考えた方がいいだろう。要は物流の前線基地から情報収集の前線基地への転換が急務なわけで、そのことは織り込み済みの参入宣言であることを祈りたい。

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2007年2月10日土曜日

vol.1 e-commerceの展望 2000/04/15

1999年までの沈黙を破り、我が国のEC環境は突然の進化をとげたかのような印象を受ける。
年明け早々、ソニーのネット銀行の立ち上げとイトーヨーカ堂の銀行参入表明に始まったノンバンク系企業の決済機能の獲得合戦の火蓋が切って落とされた。

これに続いて新規出店数と売り上げの鈍った店鋪をe-commerceのデポとして活用する案が各コンビニから提出されたが、これは生き残りをかけるコンビニ経営者の時代錯誤の産物でしかないことは、ソニーのPLAY STATION2が次世代ネット端末としてネット予約販売されたことや、NTTドコモの携帯電話i-modeの販売代数がPCが10年かかって達成した販売代数をたったの1年で抜き去ってしまったことを見れば明らかである。

企業は降ってわいたように「IT革命」を唱えているが、その中身は単なるデジタル化でしかない。曲がりなりにも「革命」という以上、物の本質が「逆転」してしまうことが前提にならなければならない。従って、企業が「革命」を唱えるというのは自己矛盾であることは疑う余地のないところである。
「IT革命」は企業側からは決して起こらない。革命を起こすのは、いつの時代にあっても「民衆」の側であり、現代の経済用語でいえば、これは「消費者」に該当するのである。

1)B2Bのくだらなさ
「IT革命」の端的な例は、競合企業間の情報公開によって部品の調達を行おうとするB2Bであるが、何のことはない、これはなりふり構わぬリストラを部品調達という形で行なおうというものである。
下請けを叩くのにも限界を感じてきた企業が競合の枠をとっ払って「協同で下請け叩き」をしているだけである。

2)B2Cの情けなさ
さらに、B2Cと言えば従来は「直販」と呼ばれていた商取引をネット上で行うことを指しているようだが、これもまた「設備投資の少ない販売形態」として各企業から注目を浴びているに過ぎない過渡期の商取引方法である。

ネット上のショッピング・モールには無限に商品を掲載することが理論上は可能であることから、各企業は「楽天市場」の柳の下のドジョウを狙って参入を目論んでいるが、商品を販売店に突っ込むだけが営業努力であった企業に消費者など見えているはずもなく、関係者だけしかアクセスしない閑古鳥の鳴くモールになることは火を見るよりも明らかである。

さらに、せこい調査意識に基づいてアンケートを取ったり、マーケティング戦略の一環として運営したり、広告露方法の調査として活用したりしているが、まったくもってネットというメディアの使用方法を逸脱しているとしかいいようがない。

3)C2Bの時代が始まっている
ITが革命をもたらすとすれば、BとCの立場が逆転した状況が現出したときであろう。では、C2Bとはいかなる商取引の形態なのか。消費者が企業に商品を販売する形態ということになるわけだが、実際に商品を販売するわけではない。「商品化情報」を販売するのである。また、価格決定権はこの時点で消費者が握ることになる。

これはすでに始まっている。ポータルサイトには1日100万アクセスといった通常では考えられない数の人々がやってくる。これらの人々の属性をとることができればこれは他の手段では考えられない定性分析と定量分析とが同時に行えることになる。
現在、各検索エンジンサービスはポータルサイトの覇権争いの時代に突入したが、ここに集まる個人情報を宝の山に変貌させるさせるためのコンテンツ開発が耳目を集めることになるだろう。

4)C2Cで革命が完了する
C2Bの行く先はC2Cである。C2Cは大変分かりやすい概念である。消費者が価格決定権を完全に掌握するとともに、消費者に販売するということになるわけだが、この時点ではすでにconsumerという概念ではなく、productを行うconsumerすなわちprosumerとして消費者は変貌していることになる。
prosumerという言葉は決して新しいものではないが、この概念に相当する人々がメジャーな形で顕在化したことはかつてなかった。

C2Cの萌芽は、e-bayや楽天市場100円オークション、yahoo!オークションなどにみることができる。ここでは企業には価格決定権はなく、消費者の「言い値」によって商取引が行われる。つまり、ここでは企業が入札業者にすぎない。このとき今B2Bで行っている「下請け叩きを消費者から受ける」立場に逆転するのである。これが「IT革命」の行き着く先であり、e-commerceの終着駅なのである。

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2007年2月9日金曜日

はじめに

このeConsultant's POVシリーズは2000年にはじめたもので、最初から読んでみると、結構わたし自身でも笑えることが書いてある。(当たった、外れたという興味本位だけでも楽しめるかも)
2000年から2007年、たったの1ドッグイヤーでどれだけ変わったのか、それを検証することができるわけだ。そういうことで、新たに書く前に、これをアーカイブで掲載していくことにした。

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