2007年6月20日水曜日

vol.35 ブッシュvsゴア 2000/11/09

11月7日に行われたアメリカ大統領の選挙戦の結果がまだ出ない。

フロリダ州における投票結果が、1800票という余りの僅差であったことから再集計され ることになったからである。

フロリダ州では、得票差が得票総数の0.5%未満の場合には「リカウント」が実施されることが州法で決まっている。今回の選挙では、その差が0.03%にしかならないため、この法律が適用されることになったわけであるが、民主主義のセイフティネットとも呼べるシステムに一日の長を感じさせられる。

しかし、マスコミの報道姿勢には今回のアメリカのそれも似たり寄ったりの印象を受けるわけで、事実確認よりもイメージ先行の感を拭えない。

今回の選挙の争点は、ゴア氏がクリントン大統領の参謀として実質的に采配をふるった「情報ハイウェイ構想」に端を発したIT国家戦略にこのまま乗り続けるのか否か、という点にある。

インフラで先行し、コンセプトでリードし、ソフトでグローバルスタンダードを作り、ビジネスモデル特許で稼ぐという国家戦略が成功していることは、貿易黒字の数字が物語っている。
しかし、その一方で、黒字化しないヴェンチャー企業に対する投資家の資金引き上げが活発化し、ネットバブル崩壊が囁かれはじめてもいる。さらに、既存企業の株価とのアンバランスも取りざたされて久しい。

確かにアメリカと言う国家は世界戦略としてのIT戦略で今のところ勝利しているわけだが、勝ち続ける保証はあるのか、また、国民一人一人の個人としてみた場合、一体どれだけの豊かさを享受できたのか、という問いかけをするまたとない機会こそ今回の選挙と言えるだろう。

こうして見てみると、共和党を支持する人々が、いまだに実感できないIT戦略による豊かさの享受に苛立ちを隠さないだろうことは、クリントン大統領のモニカ事件による民主党のイメージダウンなどよりも大きいと思われる。

このことは、民主党を代表するゴア氏の標榜するIT戦略にいささかの疑問と翳りが生じはじめていることを表しているのではないだろうか。

「地に足をつけて真面目にコツコツ働くものこそ幸せを掴むべきである」というアメリカのコンサバティブな人々の支持する共和党を代表するブッシュ氏がここまで僅差の闘いを演じることでもそれは証明されていると言えるだろう。

翻って、昨日までイットって何だい?と言ってた首相がIT基本法案をぶち上げ、5年後にはIT先進国を目指すという国に未来はあるのだろうか?ところで自民党って、アメリカの共和党と同じ保守派じゃなかったっけ?

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2007年6月19日火曜日

vol.34 ナップスター新展開 2000/11/02

C2Cモデルの超人気サイトナップスターが、現在係争中の原告の内の1社であるドイツのベルテルスマンと業務提携。今後は「会員制有料サイト」に転身することになった。

ナップスターは、ネット上で個人間の音楽交換を無料で行うことができるサイトで、1年で3500万人のユーザーを獲得。しかし、これが著作権の侵害に当たるとしてRIAA(アメリカレコード協会)を始めとする音楽出版業界がナップスターを提訴、現在も係争中である。

「無料」というのはユーザーにとって最大のインセンティブではあるが、3500万人のユーザーを抱え、広告収入だけに頼っていては経営危機に陥ることは目に見えていたわけで、いずれこうした展開になるだろうとは思っていたが、この展開は実に楽しい。

つまり、C2Cモデルでスタートし、デファクト・スタンダードとしての地位を築き、C2Bに転じるという構造である。つまり、このナップスターのビジネスモデルは、「C2B2C」モデルとなったわけである。

このビジネスモデルがECモデルとして注目されるだろうということは、先にも述べたが、意外にも早い展開を見せているということが実感できる。

今後は、各音楽出版会社は「ナップスター傘下」に入り、会費の一部を合法的に「著作権料」として受け取ることになるだろう。これは、「音楽著作権協会」を事実上否定することにつながり、不当な利益を得ていたことも明るみに出るだろう。

今後新生ナップスターによって、ミュージシャン、音楽出版社を巻き込んだ新たな契約関係が構築されていくことになることを期待したい。

さ~て、グヌーテラはどう展開していくのだろうか、こっちも楽しみである。
アンシャンレジーム(旧体制)の崩壊と新勢力の台頭、IT革命とはこういうことを指していうのである。
http://www.napster.com/

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vol.33 SEの寿命はあと2年? 2000/10/30

中国のネット人口が急増している、らしい。

らしい、というのはどうも実体が見えないのがあの国だからである。だが、それを裏付けるものは確かにある。フリーウエアの増殖である。

サーバに関してはリナックスの追撃が急であることは以前にも言ったが、中国は初めからリナックスサーバでいくそうである。そして、2002年には2億人のネットユーザーを誕生させるということである。 あー、また日本政府のODAを当てにして・・・・・。と思うのはこれまでのことで、そんなことはないらしい。

現在、我が国ではITニーズの高まりから技術者が完全に売り手市場に廻っている。だが、これは単に需給バランスが一時的に崩れているだけのこと、これからはITだ!と思うのは早計である。

現に、今、ワード・エクセル・パワーポイントのオフィス3点セットは常識ツールである。ホームページを作るのにHTMLを組む必要もない。ところが、3年前まではこれらのうち1つでも「操作」できれば立派な専門職だったのだ。フォトショップ、イラストレータにしても然りである。使いやすく、しかも安くなっていくのがコンピュータ業界の趨勢であることは自明のことである。

ソフトもプログラムもこれからは無限にゼロにアプローチしていくことは間違いない。また、初心者から使いこなせるものになっていくだろう。これからは、これらを活用していく能力が要求される。

さらにインフラ系の技術も日進月歩。ODAで作った北京空港を株式会社にしてしまうようなマジックを使う国のことだ。ISDNだ、ADSLだ、CATVだ、CSだ、光ファイバーだと話ばかりでうんざり気味の我が国の混乱を他所に、さっさと技術移転でやってしまうことだろう。

待っててよかった!とばかり、無策を装っていた大国が目を覚まそうとしている。これからは、無限の選択肢から都合のいいものだけを選び組み合わせていくことが可能になる・・・・。これが中国のネット戦略の骨子である。

ということは、今、我が国で高まっているITニーズとは、結果、中国に対するODAの変型に過ぎないのではないか。しかも、猶予はあと2年。 そうなる前にすべきことは明白なのだが、まんまと中国の戦略に乗せられてしまうのだろうな。

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2007年6月16日土曜日

vol.32 NTTの正体 2000/10/25

そんなことじゃないかな、と思っていたら案の定。

公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いでNTT東日本の調査を開始した。確かとっくにDSLは各社が率先して導入を表明、NTT自身も実験的に導入している筈である。ところが、契約者数は何と現在たったの2000件。6月末の加入者数はアメリカで140万人、韓国でも112万人というのだからお話にならない数字である。

わたしも期待して待っていたのだが、切り替えの案内すらこない。理由を聞いて、なるほどね。NTTはどうあっても光ファイバーに固執していたわけである。

さらに、NTT内に設置するDSL装置の設置に500万円だとか、空き回線の調査に半年だとか言って、新規参入業者に対して嫌がらせをしていたというのだから呆れてしまう。

まー、NTTとしてもそれなりの焦りはあったことがこれではっきりしたわけだが、DSLは今やISDNに代わる期待の星である。光ファイバーが家庭までの引き込みにあと数兆円の投資を必要とするのに対し、既存回線を使用するDSLは初期投資が殆どかからない。

ただし、現在サーバーまでの専用線は64Kbpsなので、その10倍の640Kbpsの伝送速度があるからといって、それがそのまま反映されるわけではない。しかし、現状のISDNの実効伝送速度は10Kbps程度のものであることはご存じの通りで、もし仮にDSLによって64Kbpsの伝送速度を確保できるならば、それでも現状では十分に満足のいくパフォーマンスを持っているのである。

NTT東日本の考え方というのは、とりあえずISDNの「はじめくん」で辛抱せよ、今、世界一のパフォーマンスを持つ「おわりくん」を開発中だから、追って沙汰するまで待て、というものである。

NTTの宮津社長は、これまで東西NTTの再統合やNTT法改正を訴えていたが、今回の事件に対して、「今年の7月からはちゃんと対応している」と言っているが、これは裏を返せば、「それまでは邪魔してました」と言っているようなもので、命取りになりかねない発言なのだが、分かっているのだろうか。
あおりを食らって、NTTコム、NTTドコモは実質子会社からの脱皮を強制されることになるようだが、こっちの方は願ってもないことだろう。

NTTは「線貸し屋」に徹底させることである。この際、公正取引委員会には頑張ってもらってNTT東日本を素っ裸にして貰いたいものである。

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2007年6月13日水曜日

vol.31 ITからICへ 2000/10/24

またか、という事件が起きた。
今度は三洋電機である。太陽光発電装置の一部に出力不足の製品があることを、利用者団体が2年前にファックスで指摘。これに対し社長は担当取締役に調査を指示したが、「製品不良の事実はない」とする報告を受け、詳しい調査を今日までせずに放置したというもの。

構造的には、三菱自動車のリコール隠しと同様の構造である。2年前といえばあの「東芝事件」が起こった年であり、消費者に対する企業のクレーム対応のあり方が問われ始めた年である。
しかし、各企業がこの事件から学んだことは少なかったのだろう。これを他山の石として危機管理マニュアルを策定したという話は聞いたことがない。

日本の企業は図体だけでかくなっただけで、その体質は中小企業と変わるところはない。そのことは、そごう、雪印乳業、三菱自動車などの事件でも明らかな通りである。
それにしても、どうしてこうも同じ轍を踏んでしまうのか?

これについては、幾度も指摘している通り、「日本人の情報開示よりも隠ぺいを好む特質」にあるのではないかと思う。自分の利益のために、何ものかが、ウソ情報によって、一時的に隠ぺいしていた事実が、白日のもとに曝される。これによって、結果的には絶大なる不利益を被るだけでなく、社会的制裁を受けることになるという図式であるが、何のことはない、これは水戸黄門の悪代官そのままの図式ではないか。

つまるところ、我々日本人は江戸時代という封建時代の価値観のまま21世紀を迎えようとしているわけである。政府までもが音頭をとってIT革命を推進しようという時代だが、いくらインフラが整ったところで情報を発する我々の頭が江戸時代では、瓦版以上の情報が流れることはないだろう。

せっかくのコミュニケーションツールを使いこなせず、無意味な情報が垂れ流されるだけで、肝心な情報は隠ぺいされたままというのがどうやら我が国の企業情報ディスクロージャーの現状のようである。
ITというハードには、IC(Information Control)が欠かせない。テクノロジーは、あくまでもコントロールされた情報を流すための技術にすぎない。情報管理は今後、戦争におけるシビリアンコントロールと同程度の重要性を持ったものになってくるだろう。

消費者とのコミュニケーションをコントロールすること、それはあたかも情報戦の様相を呈してこよう。そのような現状をかんがみれば、企業に入ってくる情報の窓口にマニュアルトークしか出来ない若い女性を置いたり、企業生命を左右するような、最も重要な意思決定を促すための人材や組織が皆無だったりというようなことは、武装した相手に対して素手で立ち向かうようなものだということがお分かりいただけるだろう。

今、企業は、くだらない広告などに予算を注ぎ込むのではなく、消費者のクレームというミサイル攻撃から身を守るための情報戦のために活用すべきなのだ。それが戦略的かつ実践的CRMというものであろう。

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2007年6月10日日曜日

vol.30 だからCRMは無理なんだ 2000/10/23

私の携帯電話が突然切れた。
この後、「お客さまのご都合により・・・」というアナウンスが勝手に流される。
決して私の都合で切ったわけではない。要らぬお節介である。
私は、すぐに携帯会社に電話をしてなぜ切ったのかを問いつめる。

「切る前に切ると言ってくれなければ困るじゃないですか、どうして勝手にプチンと切るんですか」
「いいえ、勝手にプチンと切ったりはいたしません。料金が未払いになっておりまして」
「じゃー、請求書を送ってください」
「お送りしてあるはずですが」
「いいえ、着いてないからこうして電話してるんです」
「戻ってきてないということは、着いているという判断をさせていただいております」
「だから、着いてないから電話してるんです」
「いいえ、着いているはずです。なくされたんじゃありませんか」
「あなたは送ったという、わたしは受け取ってないという、じゃー、郵政相に確認してみてください」
「いちいち配達確認はしないことになっております」
「じゃー、どうして送ったと断言できるんですか」
「ですから戻ってきてませんから、着いたということです」
「じゃー、着いたということにしましょう。でも、わたしの手許にはない」
「多分それはお客さまが紛失されたのだとおもいますが」
「じゃー、紛失したということにしましょう。でも、請求書がないと払えないでしょ。送って下さい」
「2度はお送りできないことになっております」
「じゃー、どうするんですか」
「直接当社までお振込いただくことになっております」
「それを先に言ってくれればいいんです。じゃー、振込先をファックスしてください。ついでに解約書も」
「ご解約はお電話ではお受けしておりません。また、料金をお払い頂いてからでないとできません」
「だから、払いたいと最初から言ってるんですがね、即解約したいんですが」
「ご解約はお近くの営業所までお越しになってお願いいたします」
「解約書、間違いなく送っといてくださいね!」

5分程のauの女子社員とのやり取りだったが、料金を速やかに払いたかっただけのわたしは、解約宣言をするに至った。
彼女の言動を振り返って見ると、一度も自らの落ち度を認めた形跡がないことが良く分かる。意味も無く謝ったりすることを潔しとしないのが女性の特質である。それをお客との接点の最前線に配置して平気な顔をしているというのが殆どの企業である。彼女は、解約宣言に対しても「事務的」に応じるであろう。

CRMが喧伝されて久しいが、問い合わせ窓口は「受付嬢」とは違うのである。海千山千の熟練の営業マンこそが相応しいのではないか、という感を今さらながら強くする事件であった。
こういう事情で、わたしの携帯は「お客さまの都合により現在通話できない」状況にある。払うべきか、解約すべきか、悩みはつきない。

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2007年6月3日日曜日

vol.29 応援しますeveryD.com 2000/10/18

あの大前研一氏がweb siteを立ち上げた。everyD.comというスーパーマーケットである。

宅配会社と提携、web上で購入した商品を夕方までに届けてくれるという、いわば、「御用聞き」サイトである。

大前氏はこのサイトを立ち上げるに当たって、主婦600人の購買行動を徹底モニター、「ネットで主婦に買い物をさせるのは不可能」という結論に至った。

ここであきらめるのが常人なのだが、彼は、この障壁を一つ一つ具体的に解決。11月1日には東京と福岡でスタートするところまで漕ぎ着けた。

キーボードアレルギーに対してはAMI VOICEという現在売り出し中の音声認識エンジンを採用、主婦特有の「ランダム発想」に応えた。また、ネット料金は3000円までとするニーズに対しては、OCNのアプティバセットの2980円で解決。さらに、ネットアクセス拒否層を拾うためにカタログを併用。記入の手間やファックスの手間を省くために、カタログに印刷されたバーコードをなぞるだけで購入完了を実現するマイクロバーコードリーダーを採用した。

さて、この「御用聞き」サイトの目的は何か?「買い物の手間を省く」ということなのだろうか?
主婦は値段だけにしか興味がないということなのだろうか?また、それで節約できた1時間程度の時間で何が実現できるのだろうか?

料理人というのは市場でその日の食材を見てその日の品書きを決める、といわれるように食材を目視確認することはもっとも重要なことであり、そこでいい食材を手に入れることができれば50%以上の仕事は終わったも同然だという。

日用品の場合はこの限りではないとは思うが、このビジネスモデル、主婦に提供されるベネフィットがもう一つ見えてこない。むしろ、主婦ではない独居OL(この場合は会社に配送)、独居老人の方にニーズがあるのかも知れないが、実際は食材よりも半調理品、半調理品よりも調理品の方にニーズは向いているのが実情である。

こうして考えてみると、このサイトの先行きは明るいとは言えないのだが、そもそもコンサルタントが実業を行って成功した試しはないので、わたしとしては楽しみに成りゆきを見守りたいと思う。

ところで、音声認識エンジンを供給しているAMI VOICEの担当はわたしの知人なのだが、大前氏からコンサル料を取っているいるそうで、「坊主からお布施を貰うような所業」にベンチャーの逞しさを痛感したものである。

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