2007年2月10日土曜日

vol.1 e-commerceの展望 2000/04/15

1999年までの沈黙を破り、我が国のEC環境は突然の進化をとげたかのような印象を受ける。
年明け早々、ソニーのネット銀行の立ち上げとイトーヨーカ堂の銀行参入表明に始まったノンバンク系企業の決済機能の獲得合戦の火蓋が切って落とされた。

これに続いて新規出店数と売り上げの鈍った店鋪をe-commerceのデポとして活用する案が各コンビニから提出されたが、これは生き残りをかけるコンビニ経営者の時代錯誤の産物でしかないことは、ソニーのPLAY STATION2が次世代ネット端末としてネット予約販売されたことや、NTTドコモの携帯電話i-modeの販売代数がPCが10年かかって達成した販売代数をたったの1年で抜き去ってしまったことを見れば明らかである。

企業は降ってわいたように「IT革命」を唱えているが、その中身は単なるデジタル化でしかない。曲がりなりにも「革命」という以上、物の本質が「逆転」してしまうことが前提にならなければならない。従って、企業が「革命」を唱えるというのは自己矛盾であることは疑う余地のないところである。
「IT革命」は企業側からは決して起こらない。革命を起こすのは、いつの時代にあっても「民衆」の側であり、現代の経済用語でいえば、これは「消費者」に該当するのである。

1)B2Bのくだらなさ
「IT革命」の端的な例は、競合企業間の情報公開によって部品の調達を行おうとするB2Bであるが、何のことはない、これはなりふり構わぬリストラを部品調達という形で行なおうというものである。
下請けを叩くのにも限界を感じてきた企業が競合の枠をとっ払って「協同で下請け叩き」をしているだけである。

2)B2Cの情けなさ
さらに、B2Cと言えば従来は「直販」と呼ばれていた商取引をネット上で行うことを指しているようだが、これもまた「設備投資の少ない販売形態」として各企業から注目を浴びているに過ぎない過渡期の商取引方法である。

ネット上のショッピング・モールには無限に商品を掲載することが理論上は可能であることから、各企業は「楽天市場」の柳の下のドジョウを狙って参入を目論んでいるが、商品を販売店に突っ込むだけが営業努力であった企業に消費者など見えているはずもなく、関係者だけしかアクセスしない閑古鳥の鳴くモールになることは火を見るよりも明らかである。

さらに、せこい調査意識に基づいてアンケートを取ったり、マーケティング戦略の一環として運営したり、広告露方法の調査として活用したりしているが、まったくもってネットというメディアの使用方法を逸脱しているとしかいいようがない。

3)C2Bの時代が始まっている
ITが革命をもたらすとすれば、BとCの立場が逆転した状況が現出したときであろう。では、C2Bとはいかなる商取引の形態なのか。消費者が企業に商品を販売する形態ということになるわけだが、実際に商品を販売するわけではない。「商品化情報」を販売するのである。また、価格決定権はこの時点で消費者が握ることになる。

これはすでに始まっている。ポータルサイトには1日100万アクセスといった通常では考えられない数の人々がやってくる。これらの人々の属性をとることができればこれは他の手段では考えられない定性分析と定量分析とが同時に行えることになる。
現在、各検索エンジンサービスはポータルサイトの覇権争いの時代に突入したが、ここに集まる個人情報を宝の山に変貌させるさせるためのコンテンツ開発が耳目を集めることになるだろう。

4)C2Cで革命が完了する
C2Bの行く先はC2Cである。C2Cは大変分かりやすい概念である。消費者が価格決定権を完全に掌握するとともに、消費者に販売するということになるわけだが、この時点ではすでにconsumerという概念ではなく、productを行うconsumerすなわちprosumerとして消費者は変貌していることになる。
prosumerという言葉は決して新しいものではないが、この概念に相当する人々がメジャーな形で顕在化したことはかつてなかった。

C2Cの萌芽は、e-bayや楽天市場100円オークション、yahoo!オークションなどにみることができる。ここでは企業には価格決定権はなく、消費者の「言い値」によって商取引が行われる。つまり、ここでは企業が入札業者にすぎない。このとき今B2Bで行っている「下請け叩きを消費者から受ける」立場に逆転するのである。これが「IT革命」の行き着く先であり、e-commerceの終着駅なのである。

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2007年2月9日金曜日

はじめに

このeConsultant's POVシリーズは2000年にはじめたもので、最初から読んでみると、結構わたし自身でも笑えることが書いてある。(当たった、外れたという興味本位だけでも楽しめるかも)
2000年から2007年、たったの1ドッグイヤーでどれだけ変わったのか、それを検証することができるわけだ。そういうことで、新たに書く前に、これをアーカイブで掲載していくことにした。

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