2009年3月8日日曜日

Vol.94 「ノーベル賞受賞の田中さん」

拉致問題と同等の頻度でメディアをにぎわしているのが田中耕一さん。受賞理由は、「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」であり、生体高分子の質量分析法のための「脱離イオン化法」の開発を評価され、日本人で12人目の受賞者となった。

彼のユニークなところは2つある。
1つ目は会社の昇進制度に興味を持たなかったこと。
2つ目は、これが受賞理由になるのだが、実験中に試薬を間違ったこと。

1つ目の面白さは、同僚が昇進していく中で、ひとり研究室に残り、自分の好きな研究に没頭していたということで、本人自身、「好きな研究ができて給料が貰えるなんてありがたい」と語っている。

企業の中で生き残っていくためには昇進して給料を上げていくことが良しとされ、スペシャリストからジェネラリストへの転身をせまられる。そして、これに乗れなかったものは脱落者とみなされる。

これを拒否し、受賞後も、会社側からの役員への昇級のオファーを断り、係長のままい続けることを希望していた。 結果、生涯一エンジニアでい続けたい、という希望は聞き届けられることになったが、会社側が彼の功績に報いるためには、フェローというポジションが必要だったわけで、 役職=高給=出世という図式では、世界の頂点に挑むような研究はできないということを暗に示している。

2つ目は、あらゆる実験中によくあることなのだろうが、この間違いを観察することから、ヒントを得て正しい結果を導いていったところが他の研究者とは違うところである。これを、Serendipity(偶然を見のがさないこと、最近の映画のタイトルにも なっているが)というが、これが第1級の研究者には備わっているものらしい。

さて、この話、近年の儲け主義に走るだけのe-bizの世界の対極をなすような話だが、インターネット黎明期の発想に一度戻って、CSとは何なのかという原点を確認してみることが必要なのではないだろうか。

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2009年3月1日日曜日

vol.93 「IP電話狂想曲」

IP電話関連の話題がこの週末一気に噴出してきた。  
NTTコミュニケーションズ、ソニーコミュニケーションネットワーク、そしてニフティの3社は11月14日、IP電話サービスの相互乗り入れと共同実証実験を行うと発表した。

12月からそれぞれ試験サービスを行い、来春の商用化を目指す。ユーザー間の通話料は無料とし、計1100万会員という“数”を武器に先行するBB Phoneを追撃する構えだ。(ZDNET11/14)

ISP連合「メガコンソーシアム」のKDDI(DION)と日本テレコム(ODN)、NEC BIGLOBE)、松下電器産業(hi-ho)の4社は11月15日、IP電話サービスの相互接続で合意したと発表した。合計約1000万人の会員間で無料で通話が可能になる。 (ZDNET11/15)

IP電話といえば老舗のフュージョン・コミュニケーションズの契約者数が200万人。 皆さんが追撃しようとしているBB phoneがマックスでも100万人(現在20万人)。 これに合計2000万人の会員数を持つ大手ISPが今頃おっとり刀で参入してきたというわけである。

とりわけ、NTT COMなどは本来の自社商品である市外電話代と引き換えにするというのだから、その危機感たるや相当なものだろう。 しかし、こんなサービス、ADSLなら最初からあって当たり前のことである。

IPという プロトコルからすると「会員間は無料」などという発想は生まれてこない。この論理は、例えば「同じプロバイダ会員同士でなければネット接続はできません」と言ってるようなもので、そもそもこういう囲い込み的発想のものではないのがインターネットである。

相互接続は前提だし、電話代は只なのである。 BB phoneの場合、アメリカも含めて全国一律7.5円/3分であるから、その辺りの料金設定がされることになるのだろうが、PCと同様に考えれば、定額のIPS料を支払えば電話代は只にならなければおかしい。

さらに、ここまでくるとNTTに支払う基本料金、これがますます割高なものに感じられてくる。NTTさん、何してくれてるの? とまれ、2003年はまずは加入者電話がIP化することがはっきりしてきたわけで、この流れに乗って、携帯のIP化も一気に進んでほしいものである。

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