2008年8月17日日曜日

vol.82 「さらばナスダック・ジャパン」

鳴りもの入りで登場したストックマーケット「ナスダック・ジャパン」が撤退した。

これまた遅きに失する感があるくらいなもので、単純に、取り扱い高が当初予想の1/10にしかならなかったことが原因である。

米国のネットバブルの崩壊があっという間に我が国に押し寄せてきたのが1999年であるから、まさにその年に設立されたことになる。

それから3年、日本のネットバブルはきれいさっぱり消失した。今やVCの投資対象はIT関連以外の企業にターゲットは絞られている。

では、バイオ系かというとそうでもない。我が国独自の政策で、医療/福祉系にシフトしていくのだろうが、これとて年金目当てのビジネスにすぎない。

思えば、ネットバブルと呼べるほどのバブルも体験することなく、若者の夢は摘み取られてしまったことになるわけだが、ITをイットと読み間違う首相によって始められた「IT革命」であるから、成功するはずもなかったわけである。

それでもITビジネスはますます進化していく。BBインフラ、IPフォンが実現しようとしているビジネスは、リアルビジネスとして定着していくに違いない。

とまれ、土地本位制の崩壊はネット本位制につながることはなかったわけだが、そもそも、インフラビジネスが儲かるのは文明後進国の話、そのインフラがすべての人々に平等に与えられたとき、それを使いこなすわざやアイデアやスタイルが勝負を分けることになるのは必然である。

今回のナスダック・ジャパンの撤退は、やっとネットビジネスもリアルビジネスになっていくスタートラインが見えてきたことを象徴する出来事だといえよう。


<関連記事>
(8/18)ナスダック国際部門会長「収益低く撤退決断」――米への上場支援 【ニューヨーク=梶原誠】

米店頭株式市場(ナスダック)の世界展開を担当するナスダック・インターナショナルのジョン・ヒリー会長は16日、日本からの撤退について「収益を追う企業として決断した。進出当時は実際の二倍の株式公開を見込んでいた」とし、目算の狂いが原因になったと説明した。

ナスダック・ジャパン市場に上場する企業が米ナスダック上場を希望する場合、「できる限り支援する」と表明。今後については「日本企業の米国への上場誘致、上場投資信託などの日本への商品提供、日本の投資家に対する米国企業の紹介を続けていく」と述べた。

ヒリー氏は「日本進出を決めた1999年は強気相場の最終局面だったが、相場低迷は今年で3年目に入った」と予想外の環境悪化を強調。「日本の投資家や証券会社も経営が苦しく、新売買システムの導入の失敗につながった」と分析した。
[日本経済新聞]

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2008年8月2日土曜日

vol.81 「発進!IP電話」

BBがインフラになるということは、当然電話もIPでしょ、とだれでもが思っているにもかかわらず、NTTは2010年を目処にIP化などと寝言をいっていたのが今年の正月。

ところが子会社のNTTコムがぶち上げました。このストーリー、YAHOO!BBにそれっとばかりに追随した流れそのまま、YAHOO!IPに追随したまでのことだが、初期目標10万人とはかわいい設定。NTTに遠慮してみせているところが笑わせる。

NTTコムといえば、ストリーミング技術の独占や、インターネット検定の実施など、NTT東日本には出来ないことを率先してやることがそのレーゾンデートルである。OCNの会員数だけでも100万単位になるわけだからどーんと一気に実施すべきだと思うのだが。

思えば、携帯のパケット通信料などという詐欺のような料金を消費者に負担させている郵政省というのが諸悪の根源だが、NTTの大株主であるから、株価がパーになってしまうようなことはしないのは自明の事。

ここに日本国民の不幸はある。国民の利益優先を計らない政府レーゾンデートルはないこともまた自明の事である。

話が横道にそれてしまったが、やはり、2005年までIPインフラは待たねばならないようだ、ということは明白なようである。

<関連記事>
「NTTコム、ネット技術使い低価格IP電話」
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は6日、インターネット技術を使い低料金で利用できるIP(インターネット・プロトコル)電話サービスを7日に始めると発表した。一般の固定電話との通話だけでなく、相手の映像を見ながら会話するテレビ電話としての利用も可能。
「ビデオフォン」として、同社のネット接続サービス「OCN」の会員を対象に提供する。月額基本料金は300円で、通話料金は会員間であれば無料、固定電話へは全国一律3分25円。利用者はパソコンにヘッドホンを取り付け、パソコン画面上で相手の電話番号を入力する。
パソコンにビデオカメラを取り付ければ、テレビ電話として利用できる。ヘッドホンやビデオカメラは利用者が用意する必要がある。2003年3月末までに、10万人の利用者獲得を目指す。

[8月7日/日経産業新聞]

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