2008年1月3日木曜日

Vol.61 「電子政府の実現がもたらすもの」

政府は2003年をめどに「電子政府」の実現に向けて動き出した。ネット経由で国への届け出や申請を行えるようにし、手数料はネットバンクや電子マネーで決済し、本人確認は電子署名を活用するということである。

国への申請事項というのは個人ではそう多くはないので、これが電子化されるというのはさして実感が湧かない。むしろ、並行して進めるべきは「電子自治体」の方であろう。

引越しを経験された方ならご存じのように各自治体の届け出フォーマットはバラバラである。これらをまず統一するところから取り組まなければ事は進まない。

さらに電話、電気、水道、ガス、NHKなどのインフラ系の届け出ときたら個別で、おまけに折角死に体の銀行にカンフル注射をするように銀行引き落としを勧めているの
が実態である。

これがネットバンクになれば当然決済は現在の200円、300円といった金額から10円になるわけだが、収入減の予測は立っているのだろうか?

さらにセキュリティの問題。電子署名で行うのはいいけれど、これまで縦割り行政のおかげで捕捉されなかった個人情報が一元管理できるようになってくるわけで、これは国民皆背番号制に繋がっていくわけだが、利便性と引き換えにこれを導入するというのでは、民間企業のセンスと同等である。

そしてもっとも大きな問題は、現在ネットはブロードバンド化に向けてひた走っているということ。ブロードバンド化とは「繋ぎっぱなし」のことである。

繋ぎっぱなしになったとき、セキュリティの問題から、やたら認証サイトが増えてくることが予測されるが、認証が同じであればトラッキングされる危険性がある。これを回避するためには多くの「印鑑」を用意しなければならなくなるのではないだろうか。

ブロードバンド化は、個人の匿名性を剥奪する。すべての国民の個人情報が補足された世界、それは民主的世界といえるのだろうか?

これから2年の間のネットの変貌を考えると、民主的な暮らしを維持するためにはネット参加拒否しか残されていないのかも知れないなとも思える。

ソウダヒロシ プロフィール CONTACT

※直近のブログは→ITトレンド2010

※食い物系のブログは→今日のメニュー2010

※環境系のブログは→環境トレンド2010

※進行中プロジェクトのブログは→リンクアド・プロジェクト公式ブログ

0 件のコメント: