2007年11月18日日曜日

vol.56 「デジタルテレビの行方」

2000年、鳴り物入りで登場したデジタルテレビが一向に普及しない。

インタラクティブ放送が受信できるとか、クイズができるとか、メイルが送れるとか言ってみたところでノレンに腕押しである。しかしこれは考えてみれば当然のことで、たったそれだけのことのために今観ているアナログテレビを捨てて、100万円近いデジタルテレビに買いかえようという消費者がそうそういるとは思えない。

もっとも肝心なことは、テレビを見るというのは娯楽のためであって、情報収集のためではないということだ。つまり、テレビを観るという行為は積極的に何かの目的を果たそうと言う行為ではなく、観ることそのものが目的なのである。

PCはただじっと観ていても何も起こらないのとは対照的である。テレビがインタラクティブである必要はないのである。
ところが、テレビのデジタル化には必要性があるのである。アナログテレビ放送が電波を独り占めにしているという実態である。

アメリカは2006年までにアナログテレビ放送を一切なくし、すべてデジタル放送に切り替えることを発表した。ところが、ここにもわが国と同じ問題がある。2000年度のデジタルテレビの販売台数は50万台、わが国の同年の販売台数150万台
と比べても見劣りがする。

しかしアメリカは実はCATVの普及率が全テレビ視聴家庭の80%に達していることから、デジタル放送はCATVを通じ、アナログ変換放送で行われることになるであろうというのが大方の見とおしである。

では、わが国のテレビのデジタル化はいかに達成されるのだろうか?光ファイバーか、CATVか、衛星か?実はインフラよりもコンテンツ不足の問題の方が大きいはずである。これまでテレビはインタラクションではなくスポンサーを追いかけてきたわけだから。

ネットのブロードバンド化が進み2MbpsがクリアされればPCでテレビを観ることも可能ではあるが、先の理由からそうはなるまい。このままいけば、テレビはアナログのまま今のラジオのようなメディアになっていくのではないだろうか。

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