2007年6月13日水曜日

vol.31 ITからICへ 2000/10/24

またか、という事件が起きた。
今度は三洋電機である。太陽光発電装置の一部に出力不足の製品があることを、利用者団体が2年前にファックスで指摘。これに対し社長は担当取締役に調査を指示したが、「製品不良の事実はない」とする報告を受け、詳しい調査を今日までせずに放置したというもの。

構造的には、三菱自動車のリコール隠しと同様の構造である。2年前といえばあの「東芝事件」が起こった年であり、消費者に対する企業のクレーム対応のあり方が問われ始めた年である。
しかし、各企業がこの事件から学んだことは少なかったのだろう。これを他山の石として危機管理マニュアルを策定したという話は聞いたことがない。

日本の企業は図体だけでかくなっただけで、その体質は中小企業と変わるところはない。そのことは、そごう、雪印乳業、三菱自動車などの事件でも明らかな通りである。
それにしても、どうしてこうも同じ轍を踏んでしまうのか?

これについては、幾度も指摘している通り、「日本人の情報開示よりも隠ぺいを好む特質」にあるのではないかと思う。自分の利益のために、何ものかが、ウソ情報によって、一時的に隠ぺいしていた事実が、白日のもとに曝される。これによって、結果的には絶大なる不利益を被るだけでなく、社会的制裁を受けることになるという図式であるが、何のことはない、これは水戸黄門の悪代官そのままの図式ではないか。

つまるところ、我々日本人は江戸時代という封建時代の価値観のまま21世紀を迎えようとしているわけである。政府までもが音頭をとってIT革命を推進しようという時代だが、いくらインフラが整ったところで情報を発する我々の頭が江戸時代では、瓦版以上の情報が流れることはないだろう。

せっかくのコミュニケーションツールを使いこなせず、無意味な情報が垂れ流されるだけで、肝心な情報は隠ぺいされたままというのがどうやら我が国の企業情報ディスクロージャーの現状のようである。
ITというハードには、IC(Information Control)が欠かせない。テクノロジーは、あくまでもコントロールされた情報を流すための技術にすぎない。情報管理は今後、戦争におけるシビリアンコントロールと同程度の重要性を持ったものになってくるだろう。

消費者とのコミュニケーションをコントロールすること、それはあたかも情報戦の様相を呈してこよう。そのような現状をかんがみれば、企業に入ってくる情報の窓口にマニュアルトークしか出来ない若い女性を置いたり、企業生命を左右するような、最も重要な意思決定を促すための人材や組織が皆無だったりというようなことは、武装した相手に対して素手で立ち向かうようなものだということがお分かりいただけるだろう。

今、企業は、くだらない広告などに予算を注ぎ込むのではなく、消費者のクレームというミサイル攻撃から身を守るための情報戦のために活用すべきなのだ。それが戦略的かつ実践的CRMというものであろう。

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