2007年6月3日日曜日

vol.29 応援しますeveryD.com 2000/10/18

あの大前研一氏がweb siteを立ち上げた。everyD.comというスーパーマーケットである。

宅配会社と提携、web上で購入した商品を夕方までに届けてくれるという、いわば、「御用聞き」サイトである。

大前氏はこのサイトを立ち上げるに当たって、主婦600人の購買行動を徹底モニター、「ネットで主婦に買い物をさせるのは不可能」という結論に至った。

ここであきらめるのが常人なのだが、彼は、この障壁を一つ一つ具体的に解決。11月1日には東京と福岡でスタートするところまで漕ぎ着けた。

キーボードアレルギーに対してはAMI VOICEという現在売り出し中の音声認識エンジンを採用、主婦特有の「ランダム発想」に応えた。また、ネット料金は3000円までとするニーズに対しては、OCNのアプティバセットの2980円で解決。さらに、ネットアクセス拒否層を拾うためにカタログを併用。記入の手間やファックスの手間を省くために、カタログに印刷されたバーコードをなぞるだけで購入完了を実現するマイクロバーコードリーダーを採用した。

さて、この「御用聞き」サイトの目的は何か?「買い物の手間を省く」ということなのだろうか?
主婦は値段だけにしか興味がないということなのだろうか?また、それで節約できた1時間程度の時間で何が実現できるのだろうか?

料理人というのは市場でその日の食材を見てその日の品書きを決める、といわれるように食材を目視確認することはもっとも重要なことであり、そこでいい食材を手に入れることができれば50%以上の仕事は終わったも同然だという。

日用品の場合はこの限りではないとは思うが、このビジネスモデル、主婦に提供されるベネフィットがもう一つ見えてこない。むしろ、主婦ではない独居OL(この場合は会社に配送)、独居老人の方にニーズがあるのかも知れないが、実際は食材よりも半調理品、半調理品よりも調理品の方にニーズは向いているのが実情である。

こうして考えてみると、このサイトの先行きは明るいとは言えないのだが、そもそもコンサルタントが実業を行って成功した試しはないので、わたしとしては楽しみに成りゆきを見守りたいと思う。

ところで、音声認識エンジンを供給しているAMI VOICEの担当はわたしの知人なのだが、大前氏からコンサル料を取っているいるそうで、「坊主からお布施を貰うような所業」にベンチャーの逞しさを痛感したものである。

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