2007年5月19日土曜日

vol.27 日本企業とCRM 2000/10/02

雪印乳業、日本ネスレと業務提携。思えばあっという間の出来事であった。

株主総会中に大阪で食中毒が発生してからたったの3ヶ月。すべて後手後手に廻った対応は社長交代では歯止めが効かず、軽く見積もっていた損失額も前期利益の全てに及び、今期の赤字は確実であるばかりでなくその数字の落ち着く先も見えない有り様である。生活者の、また流通業界の信頼回復への道のりは遠い。

しかし、今回の事件は、独り雪印のみの問題ではなく、日本の企業の持つ特質が白日の元に曝されたと考えるべきであろう。

業界トップ企業の奢り、消費者無視の体質、特殊な業界の体質、などとあげつらっていうのは容易い。しかも、業界の特殊性にすべてをなすりつけてしまいがちである。ならば、三菱自動車の例はどういうことなのか、さらに、東芝事件はどうなのか。これら日本企業の持つ全く同根の病に今回の事件の元凶があるのではないか?

すなわち、「知らしむべからず、寄らしむべし」という支配者の精神構造であり、日本政府における高級官僚達の発想に通じるものである。

ディスクロージャーだインタラクションだと騒いでいる割には、情報の開示も対話も存在しなかったことが「問題」なのではないのか。

CRM(Customer Relationship Manegement)ばやりの昨今だが、この2つを抛擲して一体どんな関係性を構築しようというのか。

恰好だけのCRMはあり得ない。走り出したら止まることは出来ない。「情報開示」にのっとったコミュニケーションには程々ということはない。CRMを標榜する以上、生活者や関係者との徹底したコミュニケーションをシジフォスの神話のように繰り返す心構えで実践することなしには、失った信頼を取り戻すことはできないだけでなく、そのレーゾンデートルすら脅かされることになるのではないだろうか。

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