2007年3月25日日曜日

vol.16 MUTTSと出版業界 2000/06/19


マガジンハウスから創刊されたMUTTSという雑誌が面白い。
もともとこの雑誌社は「サイコグラフィック・データ・マーケティング(心理的属性に基づくマーケティング)」、デモグラフィック・データ・マーケティング(年令・所得などの社会的階級に基づいたマーケティング)など従来のマーケティング・メソッドを駆使して人気雑誌を出版してきた会社である。(POPEYE,BRUTUS,OLIVE,HANAKOなど)

そして、そこには人気雑誌=人気編集長の存在、という構図があって、この構図=モノづくりの方程式、であったわけで、この方程式はあらゆるモノづくりにも当てはまるわけである。

ある人間の存在がその雑誌や商品の完成度や感性度までも決定してしまう力を持っているわけで、それは、今でいうところの「カリスマ編集長」や「カリスマ企画者」というような存在であるわけである。

ところが、これを真っ向から否定してかかったのがMUTTSという雑誌の編集方針なのである。
読者はまずネットにアクセスして、好みのBBSやチャットに入り、自分の興味のあることを書き込んだりくっちゃべったりする。すると、それが印刷されてMUTTSに掲載されるのである。おいおい、それって雑誌かよ~~!っと言うなかれ、雑誌なのである。

さーて、これを認めるということは、「消費者の声を商品に反映する」ことを標榜してきた雑誌社やメーカーというのはどうなってしまうのだろう?という疑問がわく。でしょ?でも、わくあなたというのは前世紀の遺物。

この雑誌は「消費者の声を商品にしている」わけだから、既存の価値観で判断できないわけである。もし既存の価値観で判断してしまうと「編集者不在の雑誌」というレッテルを貼って無視するしかない代物ということになる。

ところが、ここがこの雑誌社の面白いところで、「情報収集能力にプロもアマもない」と割り切った。ただし、編集方針というのはあるわけで、「かじ取りに徹する」という方針によってそれを実現していこうというわけである。

この辺りにIT革命のキーワードがあると思うのだが、「立場を全うしたい前世紀の編集者」たちがのさばる出版業界に理解できるかどうか・・・・。
ちょっとわくわくしながら見守っていきたい雑誌だと思うのだが。


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